Cube Voyage

ルービックキューブの速いそろえ方、解き方、最速攻略法、解法、スピードキューブ、LBL法など

Thoughts on Competition Performance

原文:https://www.cubeskills.com/blog/thoughts-on-competition-performance

この記事を読む前に、もし貴方がスピードキューブの公式大会について詳しく知らないのであれば、WCAの公式サイトを見ておくようにして欲しい。WCAは世界中で公式大会を開催しており、もし公式大会に参加したことがないのであれば、参加することを強くお薦めする。スピードキューブの公式大会はとても楽しくやりがいがあり、また私の参加した大会では誰もが友好的だった。貴方のタイムやキューブ歴の長さはまったく関係ない――誰もが楽しむために大会にやってきているし、さらに言うなら参加者の多くは誰かと競うのではなく、自分自身と戦うために大会に参加している。

(※原文ではここで公式大会に関する説明・リンクを掲載しているが、ここでは必要ないと思われるため割愛する)

では、本文に入ろう。

家でキューブを練習し、自分のスキルを磨くことは十分やりがいのある事であるが、公式大会においてソルブをし、よいパフォーマンスをする事はそれとはまったく異なるものだ。私を含め、多くの人は家でのソルブより公式のタイムの方がとても遅くなるし、またこれが何度も続くととてもイライラしてしまうだろう。この現象の要因の一つとして、サンプリングバイアスがある。というのも、家でほぼ無限回の練習をしているのと比べてしまえば、大会の少ない試行回数のなかでベストに近いタイムを出すのはほぼあり得ないことだからだ。しかし、それはあくまで弱い要因にすぎず、緊張や大会の環境というのが非常に大きな要因であることは間違いないだろう。
この記事では、大会の準備をしているときや実際に試技をしているような時に使える、公式記録を改善するためのアイデアやテクニックを挙げていく。ここに書いていないようなアイデアや観点も知りたいので、何かあればコメントでぜひ教えて欲しい。※1

大会のおよそ2~3週間前になると、大会の種目リストをチェックして出場する競技を決め、それの練習を始める。そしてそこから大会までは、その種目しか練習をしないようにする。もしあなたが3×3,4×4,OHでいいタイムを出したいのであれば、大会前に7×7やメガミンクスを練習するのはあまり意味が無いことだろう。
加えて、大会の1週間前からは、新しい手順を覚えるのをやめる。もし大会の前日(あるいは1週間前であっても)に新しい手順を覚えた場合、大会の場においてはその両方を忘れたり、混同して混乱してしまう可能性が非常に高い。そのため、多くのキューバーが言っていることだが大会の直前に新しい手順を覚えることはお薦めしない。

家のパソコンで何百回もの平均を測定する時と公式大会で平均を計算する時では、その環境が大きく異なる。そのため、家にいるときも大会環境をシミュレートしてみることはとても有効だ。公式大会では5回しかタイムを測らないし、各ソルブの間に少し時間があき、そのあいだ席を立って他の人としゃべったりもする。またソルブ間では自分のメインキューブに触ってウォームアップをすることができないし、しばしば大会会場はとても騒がしく、また集中を散らさせるようなものが沢山ある。試技中にジャッジがソルブを監視したりインスペクションタイムを知らせるのをプレッシャーに感じてしまうこともあるし、タイム測定にはスタックマットを使わなければならない。これらが大会のソルブが普段の練習との違いを生み出し、また大会でのソルブを難しくしている主な要因だ。他の場所※2でも述べたことであるが、もし家で大会環境をシミュレートし、まるで公式大会であるかのように練習をすることができれば、大会のソルブも多少はやりやすくなるだろう。もちろん全てをコピーすることは不可能だが、スタックマットを持っているならそれを使って練習をすることはできるし、ソルブの時間間隔や大会での雑音を模倣してみたり、5回だけ計測してアベレージをとったり等といったことはできる。Max Parkはこの様子をYoutubeで多くアップロードしているので、参考になるだろう。スクランブルを他人にやってもらうまではいかなくとも、次のソルブまでキューブにカバーを被せて隠しておくといったことはできる。大会形式でAverage of 5を計測することで、実際の大会においてどういう心の準備をすればよいかについてよりよいアイデアを得ることができるはずだ。

実際の大会においては、いくつか意識していること(毎回必ず出来ているわけではないが)がある。
1つ目は、これが自分にとって最も大事なことだが、ウォームアップだ。ラウンドの前に2、3回しかソルブをしていないような状態では、いい結果を出せることはほとんどない。たとえ家であってもいいタイムが出るまで15分~20分程度はウォームアップが必要なので、可能であれば大会でもそれをするようにしている。指や前腕が温まっていて回転速度が安定しているか確かめるだけではなく、精神的な準備ができているかもウォームアップに含まれる。ただ単にタイムを測るだけでなく、ゆっくり滑らかに回していいタイムが出るかどうかといったこともよく行っている。
理想としては、一度ラウンドが始まったら、自分の心を可能な限りすっきりさせ、全てのプロセスを自動的にできるようにしておきたい。これを言うのは簡単だが、実際にやるのはなかなか難しい。Anthony Brooksはソルブ中にものごとを考えすぎてしまう現象、いわゆる“paralysis by analysis”に関する興味深い投稿※3を行っている。

自分がここ数年やっているのは、ざっくりとした試技前のルーティーンだ(「ざっくりと」というのは「毎回完璧に同じというわけではない」という意味)。各試技前にルーティーンをこなすことでいくらかの効果が見込めると思うが、そのためにはそのルーティーンをほぼ無意識でこなせるくらい、家で十分に練習しておかなければならない。ルーティーンであれこれ考えていては意味がないからだ。またそのルーティーンは複雑なものでないほうがよい。自分の場合は、完成しているキューブに対していくつかのPLLを行い、その後時々はキューブを手崩しでスクランブルする。そして手が汗をかいていればそれを拭き、ゆっくり深呼吸をして試技を始める。それ以上の事は特にせず、なるべくシンプルに、だが一貫して行うようにしている。ただ、席に座ったら緊張して自信をなくす前にすぐ試技を始めるという人も聞いたことがあるし、席に座ってから試技開始までしばらく時間を置くのが好きだという人もいる。これは個人の好みだと思うし、自分はどちらもやったことがある。
TCG and Friends 2015という大会の決勝では少し違う試みをしてみたことがある。それは、ラウンド中ずっとタイムを計測しつづけるというものだ。各試技の間にスマートフォンのタイマーで4回か5回のソルブをし、ソルブ後すぐに公式の試技を行い、その後はすぐに練習ソルブに戻るというのを行った。ソルブ間の時間を短くして、なるべく家での計測に近づけようという意図があってものだった。ただ、これは多少の遅延行為になってしまう(規約で認められた範囲内ではあるが)ため、それ以降は一度もやっていない。人によっては、ラウンド前や試技前に軽く体を動かしたり、何かを食べたりといったことをしている人もいるようだ。

ラウンド中に特に意識しているのは、①絶対に途中であきらめないこと、そして②キューブをしっかり持つということだ。
まず、ソルブ途中やラウンド途中で諦めてしまうようなことが絶対にないようにしている。特にソルブやラウンド前半の場合は、その後に何が起こるかは全く分からないからだ。もしソルブの最初がめちゃくちゃだったとしても、その後で持ち直し、最後にPLLスキップを引き当てるかもしれない。そして、キューブをしっかり持つのを意識するというのは、緊張していれば手が滑ってキューブをファンブルさせたりしがちだからだ。キューブをしっかり持つというのを意識することで、キューブを手から落として数秒を無駄にする可能性を少しでも下げることができる。
できればこういった意識付けは無意識のレベルで出来るようにしておきたい。

ハード面も特に重要な部分だ。キューブはPOPピボットなどの故障がないように、また安定したものになるようしっかり調整しておいた方がよい。大会ではしばしば手が震えてしまうため、家では正確なソルブができても大会ではその正確さを失ってしまうだろう。そして調整の不十分なキューブがそれを増幅させ、意図しないロックアップなどを発生させてしまう。

ひとまず、この記事はここまでとしておく。少々長くなってしまったが、もしあなたが公式大会に参加しようとしているなら、この記事の冒頭で述べたことを今すぐにやってみて欲しい。大会に行けば、他の人からいろいろなことを学ぶことができるし、最高にクールな趣味を共有する人たちと出会うことができるはずだ。

ここまで読んでくれてありがとう!
Feliks

訳者注:
※1 もともとのブログにはコメント欄があるので、何かあればぜひそちらに送ってみよう
※2 他の場所、というのが具体的にどこなのかは不明。過去のインタビューなど?
※3 ”paralysis by analysis”は、直訳すると「分析による麻痺」となる。ここで該当記事の訳文を掲載する。
「大会で失敗するのを恐れてしまうあまり自分のしている事に対してあれこれと考えてしまうことは”paralysis by analysis”を引き起こす原因になる。paralysis by analysisは、大会で確実に成功したいと思うがために、ソルブにおけるあらゆる部分をコントロールしようとしてしまっているときに起こる。残念なことに、行き過ぎたコントロールは期待と反する結果になり、流れるようなソルブがガチガチのパフォーマンスに変わってしまう。
ウォームアップのためのルーティーンを編み出そう。大会はほとんどがメンタル勝負だ。あなたはとても長い時間を練習に費やしてきたのだから、十分に準備ができていて、自分はゾーンに入っていると信じよう。私が試技をする前は、一度目を閉じて深呼吸をし、緊張に立ち向かうのではなくそれを受け入れている。それにより気分を落ち着かせるだけでなく、試技に向ける気持ちを高めることにもつながる。そうして出てくるポジティブなアドレナリンは、あなたのソルブに大きな違いをもたらしてくれるだろう。」

(2017/4/23 翻訳者:HATAMURA)

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