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Colour Neutrality

原文:https://www.cubeskills.com/blog/colour-neutrality

colour neutrality:どの面/色からでもクロスを揃えられる技術

colour neutral(CN)の技術を身に付ければ、特定の1色もしくは2色でしかクロスを揃えられない人よりもほんの少しだけ優位に立てると考えています。端的に言えばCNの人はCNでない人以上にクロスをうまく揃える技術があると言えます。しかし、6色すべての色について考えた上でどの色から解き始めるかを決めるのは確かに損もしています。というのも、CNではない人はこの余分な時間でソルブの最初の数手まで読む/考えることができるからです。さらに、クロスパーツを探すのは時には必要以上にストレスフルですし、どの色で解くかを決めるのに時間をかけようと思えばいくらでもかけられてしまいます。

Lars Vandenberg氏のサイトにあるcross studyはよく引き合いに出されます。CNの場合、クロスを完成させるために必要な手数の最適解は平均して4.81手であり、一方で単色でクロスを完成させるために必要な手数の最適解は平均して5.81手であるということを彼は見つけました。この統計を引用して、(CNは)苦労の割に受けられる恩恵が少ない、と言う人が見受けられます。たしかにこの数字だけ見たらそう思えるかもしれません。

しかし、この統計で最も注目すべき重要な数字はそこではないと思うのです。4手以下でクロスが完成する確率について注目すると大きな違いがあります。単色でしかクロスを揃えられない人にとって4手以下で完成させられるようなクロスが出現する確率は5.99%であるのに対し、CNの人にとってその確率は29.17%です。これはつまり、単色でクロスを揃える人よりCNの人の方が5倍以上もとても簡単なクロスに出会う確率が高いと言えます。これはもちろん最適解をうまく見つけられるということが前提の数字ですが、4手以下の場合にはそこまで難しいことではないでしょう。

平均すれば簡単なクロスが来やすい、ということではなく、簡単なクロスが出現する確率が有意に高いということが重要です。上級者にとっては、クロスが短ければ、F2Lまで先読みするのだってずっと楽になりますし、インスペクション中に動きを考えておかないといけないパーツに関して言えばたった1,2手と言えど大きな違いです。CNでない場合は4手以下のクロスが17試技に1試技しか出ないのに対して、CNなら3試技に1試技も出るのだから、これによりクロスからF2Lのつなぎ目が飛躍的に向上します。CNによって得られるアドバンテージは、トップキュービストにとっては重大な意味がありますが、おそらく初心者にとってはそれほど顕著ではありません。Max ParkやBill WangやSeung-Hyuk Nahm,そして私自身もみんなCNです。長い目で見ると最適解の手数においてたった1手少ないだけですが、公式大会の5試技というのはサンプル数としてはとても少ないので、ある一連のスクランブルがもっとずっと良いアドバンテージをもたらしてくれる可能性だってあります。

では、どうすればCNを身につけられるのでしょう?これはスピードキュービングを始めた時からずっとCNだった私にとっては答えるのが難しい質問です。CNに’移行’した経験はありませんが、直感的なアドバイスと、実際に他の人にして役に立ったことのあるアドバイスをしてみようと思います。

まず第一の助言として、できるだけ早く試してみようということです。もしあなたが初心者なら、単色で解く習慣/癖はあまり深くまでは染みこんでいないでしょう。そのため6色で解けるようになるのは比較的簡単です。しかしもしあなたが何年もキューブをやっているなら、あなたの単色でクロスを解く癖/習慣を変えるのはとても大変でしょうし、CNに移行しようとどうあがいたところで無駄だということがわかるでしょう。
そしてこのことが第二のアドバイスにつながります。それは、CNに移行する必要はないということです。上で私が述べてきたように、CNによる恩恵というのは、それによってすぐにとてつもなく技術が向上したり、なにか魔法がかかったみたいにタイムが良くなるなどというようなものではないのです。単色でクロスを揃えるよりもかろうじて優位に立てるという程度のものなのです。もし単色ではなくもっと多くの色でクロスを揃えられるようになりたいと思って真剣に練習しているのにうまくいっていないのなら、私のアドバイスとしては(妙にも聞こえるかもしれないけど)、CNは諦めてどこか別のところに焦点を当てて練習するべきだということです。何年もの間にいろいろな人から話を聞いてきて思うのは、人それぞれだということです。つまり、ある人は新しい色で解くのにすぐ慣れるし、またある人はとても苦戦するのです。単色でクロスを揃えているからといって世界記録を破れないということもありません。
第三のアドバイスとしては、今のクロス色の対面色でも揃えられるようにしてそこで妥協しておくのがとても良いということです。CNの恩恵の約半分(ちゃんと定量化するのは難しいですが…)をさらに少ない労力で得ることができます。例えば白クロスで解いている人は黄色クロスで解くのに慣れるほうが青クロスで解くのに慣れるよりも簡単です。これはF2Lパーツの色自体は変わらずに、センターパーツの相対的な位置関係が変わっているだけだからです。(最初はこれも混乱しますが。)

それでは、CNに移行しようと決めた場合にはどのようなアプローチで練習をするべきなのでしょう?キューブを始めたばかりであれば思い切って6色同時に解く練習をしてみるのが良いと思います。というのも、まだそこまで多くの癖もないでしょうし慣れるのもそこまで大変ではないはずだからです。もしそれでダメなら、以下で概説するようなもう少し計画的な方法の内の一つを試してみるのが良いと思います。

異なる色で解くというのはとても難しいので、1色ずつ解くのに慣れていくというのが道理に適っていると思います。例えば、今白クロスで解いているなら、慣れて無意識でできるぐらいになるまで黄色クロスだけで練習してみましょう。次は、白クロスと黄色クロスで交互に解いてみましょう。そうしたら今度はもっと難しい色を追加してみましょう。青クロスで練習してみて、F2Lペアの色とセンターの位置関係に慣れるのにどれくらいかかるか様子を見てみましょう。もし青クロスで落ち着いてきたら白,黄色,青クロスで平均タイムを測っていきましょう。このプロセスを6色全部で自信をもって解けるようになるまで繰り返しましょう。これは時間もかかるし大変かもしれませんが、新しいクロス色を組み込んでいくのに適切な方法だと思います。

もう一つの方法としては、個別の色で練習して後で一気に組み合わせる方法です。Seung-Hyuk Nahm(彼はsub10してからCNに移行しました)曰く、彼は慣れるまでは毎日各色につき100回ずつ解いて(つまり一日600ソルブをする)、そして各色すべてにそれぞれ慣れた後で最終的にすべての色を使って練習することを始めたそうです。一日に600ソルブというのはおそらく多くの人にとって現実的ではないので、少し回数を抑えて練習すればよいでしょう。本質としては、一度に練習する色は1色で、その色に慣れて、そして全色同じように準備ができてから全色を使ってソルブする練習を始めるということです。また、例えば赤とオレンジなどF2Lが似ている対面色は同時に練習していく(同じセッション内で赤とオレンジを同時に練習する)というのもやりやすいでしょう。

長い間単色でクロスを揃えてきた人にとってCNに移行する際に最も難しい点は、「色」ではなく「パターン」で判断することに慣れなければいけないという点です。例えば、もし完全CNの人にあなたが「今のソルブ、何色クロスで解いた?」と尋ねても、ほとんどの場合彼は何色クロスで解いたかを覚えていないでしょう。これは少し妙に思えるかもしれませんが、長い間CNでのソルブに慣れてきたので、無意識に、単に目の前に出てきたパターンについて反応しているだけで個別の色については考えることすらしていないのです。この程度まで達することが最終的な目標です。しかしもちろんCNの練習を始めたばかりの段階ではどの色でクロスを揃えるかをちゃんと考えて意識的に決める必要があるというのは明らかです。

個人的な意見ですが、実は私は、各クロス色についてセンターパーツの色の位置関係を意識して覚えようとしたことはありません。これはおそらく、それはとても頭を使わないといけませんし、色の位置関係/順番を間違えるもしくは間違って覚えてしまうなんてことも簡単にあり得るからですね。そのかわりに私はインスペクションの間だけですべてを解決します。というのは、例えば、緑色のクロスを揃えなければいけないと判断した時には、緑色のクロスエッジを探して、緑の面を下に保ったままそれらをどのようにD面に入れ込むかということを、センターの位置関係に注意しながら、算段をつけます。いまのところこれを無意識のうちに行っていますが、これに慣れるためにはとても練習を要するでしょう。わたしはこれを9年もやっているので、今となっては簡単に言ってしまいますけどね。

最後になりますが、多分割の場合のCNについて、そして私の場合はどうしているのかということをよく聞かれます。4✕4について言えば、私は白と黄色クロスでしか解けませんし、他の色でも解けるように練習したことは今のところありません。緑/青/赤/オレンジクロスに慣れるためにかなり多くの時間を費やしても十分なほどの見返り/アドバンテージがあるのかどうかということはわかりません。まあ多分自分のアドバイスを聞いてYau methodをCNでもできるように練習したらよかったのかもしれませんが、時すでに遅しという感じですかねw。他の多分割について言えば完全にCNで、どの色のセンターからでも揃えられます。なんで他の皆はこれができないのかイマイチ理由がわからないのです。だってF2Lなんかと違って、今までとは違う色のまとまりに慣れないといけないなんてこともないのですから。実際にたった一つだけ色がついたピースたちを解いていくだけです。2✕2についてはCNはとても重要ですし、一方でメガミンクスに関しては馬鹿みたいに大変なことです。でもメガミンクスでも本当にCNをやっている勇敢な人たちも少数います。それにはとても驚かされました。

長文になってしまいましたが、CNというのは楽しくてやりがいがあって、だけどきっと必須ではないと思います。いつもみたいに、皆さんの意見も聞きたいです。練習してみてCNへの移行がうまくいった/うまくいかなかったとか、3✕3に関して言えばコスパが悪いからCNには反対だと思うとか、また多分割や他のパズルにおけるCNの有用性とか、何かこのブログではカバーできなかった事柄や考えとかとか。

それでは!

(2017/04/23 翻訳者:匿名希望)

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