Cube Voyage

ルービックキューブの速いそろえ方、解き方、最速攻略法、解法、スピードキューブ、LBL法など

BLDの記憶をより簡単にする(おとさんからの寄稿)

はじめに

最初に私の自己紹介をさせていただきます。
私はルービックキューブ目隠し部門単発平均日本記録を持つおとと申します。単発22.30秒、平均23.98秒の記録を持っています。(2018年4月時点)
記憶については6秒から9秒くらいです。世界でもトップ層は10秒切りが当たり前っていう感じです。
ですが3BLDにおいて分析・記憶で伸び悩むキューバーはとても多いのは事実。この記事はそんな人向けに書いたものです。参考になるものがあればどんどん採用していってください。
ここでまず、前提をいうと「パーツを見た途端に、自動的にナンバリングとそのパーツが本来入る位置を思い出せる」ということです。この条件が満たされていないと、記事に書いてあることをいくら試してみてもタイムは縮まらないからです。練習を繰り返したりして、せめてナンバリングとパーツの位置はしっかり定着させましょう(自動的に、が大事です。本当に)。

この記事の目的

BLDerにとって大きな壁となるのが、単発sub60そしてsub30ではないでしょうか?
前者なら記憶時間は20秒、後者は10秒くらいが目安ですが、分析・記憶を縮めるのはなかなか難しいと思います。
確かに実行パートはある程度まではスムーズに成長していきます。なぜなら解法を変えたり、手順をより良いものにして練習すればいいからです。つまり、改善方法が容易に見つかるということです。
一方で分析・記憶は「本当の改善点はどこであり、そしてそれをどう改善していくのか」というのがはっきりしないものです。だから成長しにくいのではないでしょうか?
ですがやはり分析・記憶を速くしておくのはメリットが大きいですし、実はコスパもものすごく高いと私は考えています。
この記事は新たな記憶のテクニックみたいなのが書かれているわけではありません。記憶法は「 レターペア」、「音記憶」、「ビジュアル記憶」の3つを知っていれば十分です。
今回は分析・記憶を速くしたいと考えているキューバーにとって、真の改善点を見つけるヒントとなるようなことを書きたいと思います。

分析・記憶で大切なこと

それはやはりこの2つです。
1.自分にあったやり方であること
2.正確に分析すること

1.自分にあったやり方であること
人間の脳の特性は各人異なるものです。だから、何が覚えやすいのかも人によって全く違います。他人のやり方をそのまま自分に当てはめて、うまくいくということはあまりないように思います。
だからこそ自分で試行錯誤したりして最適なやり方を見つけていきましょう。このとき、他の人の覚え方も参考にすると良いと思います。あくまでも参考に。極論、覚えられればどんなやり方でもいいんです。
私もBLDを始めた頃は記憶法についていろいろ考えていました。「音記憶はこうにしてみたらいいんじゃないか?」とか。
自分で思いついた武器で勝負する。これがBLDの面白いところだと思いました。
またそれと同時に、イヤーマフや耳栓はした方がいいのか?それともしない方がいいのかも試してはっきりさせるといいでしょう。前者のほうが多いと思いますが、私のように無音だと落ち着かないという理由で後者をとる人もいます。これも人それぞれというわけです。

2.正確に分析すること
どんなに記憶時間が縮まっても分析が雑で曖昧だったら全く意味がありません。なぜなら、それだと目隠しでキューブを揃えることができないからです(ですよね)。また分析が正確であればその分無駄がなくなるということなので、記憶時間が短くなると思います。
速い人は皆、分析ミスも少ないです。ほとんどないといっても過言ではありません。
また私は、分析・記憶時間を縮める上で大切なのは「速く分析すること」よりも「復唱回数を減らすこと」だと思います。
なぜなら前者よりも後者のほうがコスパが良いからです。それに前者はナンバリングと位置を定着させれば、ある程度までは速くなるので。
だから繰り返しになりますが「分析スピードを上げること」よりも「極力少ない回数で記憶を定着させること」を重視するのがいいかなと思います。そこでこの記事は後者をより意識して書いています。(もちろん分析スピードも大事ですよ。そこは全く否定しません。)

各記憶方法においての改善点

1.レターペア記憶の改善点
レターペアを使った記憶が苦手だという人は、まず自分が使用しているレターペアを見直してみるといいかもしれません。
この記憶法で大切なのは
①インパクトがあるストーリーを作ること
②ストーリの情景をイメージすること、
です。
例えば「えい」という文字列が出たらどんなレターペアを使いますか?
海で泳いでいる「エイ」ですか?それとも、お祭りでよく耳にする「えい!」とかですか?
後者を使ってる人は先ほどの②を満たしていない可能性があります。「えい!」というレターペアのイメージが簡単に浮かんでくるならそれでもいいですが、そうでないなら今すぐ別のものを考えてみましょう。
また①も意外とできていない人が多いと思います。
「さきかいしう」という文字列が出たとします。そこでまた質問します。どんなストーリーをつくりますか?良くない例を挙げると
「先(さき)に貝(かい)の味噌汁(しう)を飲む」
とかとか。いろいろあります。果たしてこれでインパクトあるストーリーをつくれたと言えるでしょうか?いや、言えない(反語)。当たり前すぎて印象に残りにくいですね。だから覚えられないんです。
これを私なりに改善すると
「早希(さき)が貝(かい)の味噌汁(しう)の中で泳いでいた」
とかとか。こんなの現実では起こりえないですよね。頭おかしいのかって思いましたか?
これくらいインパクトが必要なわけです。そうすれば忘れないですから。そしてこれに加えて②の「イメージする」が大切だということです。
特に①のように強い感情が伴った記憶は本当に本当に強固です。自分が嬉しかったり悲しかったりした経験は記憶に残りやすいですよね?開始してすぐに相手チームにタックルするような試合は印象に残りますよね。
なぜそこまで①②が効果的かというと精緻化できるからです。覚える対象にいろいろ関連付けることで覚えやすく、かつ思い出しやすくなるのです。(脳科学に興味ある人は本などを読んでみてください。
他にも色々な工夫があると思うので、それを自分で見つけるのも良いですね。

ちなみに私が大会本番でしっかりと結果を出せるようになったのはレターぺアの作り方を見直したからでもあります(と思う)。
いい加減なレターぺアは練習で通用しても、本番では全く役に立ちません。緊張などで頭に入らないことが多々あるのです。だから練習のときから①②などを意識したレターぺアを作っていきましょう。

2.音記憶の改善点
日本人なら多くのキューバーがエッジに使うであろう音記憶。これ、苦手な人は全然頭に入らないし、さらに、覚えても実行する前に忘れるということが多発します。私も昔はそうでした。
ですが、音記憶がしっかりと使えるようになれば記憶時間がかなり縮まるのは確かです。世界のトップ層を目指すなら必須中の必須。

ただ、残念ながらどんな改善方法が有効なのか私もよくわからないです。ごめんなさい。
一応、私自身の音記憶における感覚、そしてどう改善したかを書いておきます。

まず音記憶をしているときの感覚をいうと「耳に残す」という感じです。決して「頭に入れる」わけではありません。
わかりにくいと思うので身近な例を挙げると、自分が好きな曲を思い出してください。何度も聴いた曲であれば、特に意識せずとも自分の頭の中で流れますよね?私にとっての音記憶とはそういうものです。
分析・記憶しているときはしっかり声に出してそれを耳で聴きます。実行しているときは、その聴いたものがそのまま流れる感じです。録音レコーダーみたいなものです。
「頭の中に入れる」つもりで音記憶をやると全く覚えられないです(少なくとも私はそうです)。

改善方法としては「区切って覚える」というのがあると思います。そうすると比較的覚えやすくなります。
例えば「952368512」という数を覚えろと言われても覚えにくいですよね。もちろんゴロは使わずに、です。
ですが携帯番号みたいにハイフンを入れてみると「952-368-512」というふうになります。同じ数字の並びなのに圧倒的に後者のほうがすっきりして覚えやすくなりませんか?このようにグループ分けすることをチャンク化と言いますが、それを音記憶にも活かせばいいと思います。
「あすちそいくとう」という文字列があれば、「あすち そいく とう」というふうに頭の中でグループにして覚えてみましょう。これに慣れたら、チャンク化せずに記憶することにチャレンジしてみるといいかもしれません。
あと音記憶はリズムも大切だと思います。歌の歌詞って覚えやすいですよね?それはリズムがあるからです。
そのリズムを音記憶に利用するには、最初に書いた通りナンバリングとその位置を自動的に思い出せるようにしなければなりません。速く分析できればその分、テンポが良くなってくるんですね。
まぁリズムについては練習していれば自然と身につくので、あまり意識する必要はないかなぁー。余談でしたね、すみません。

3.ビジュアル記憶の改善点
ビジュアル記憶の特徴としては見たものをそのまま頭に覚えさせる、というものでしたね。超高速に記憶できる一方、忘れやすいのでこの記憶方法を用いるのはほんの限られたところだけだと思います。
この覚え方が苦手だという人は
①使用するタイミングが間違っている
②練習が足りない

の2つが主な原因かもしれません。

①使用するタイミングが間違っている
私の経験ですが、ビジュアル記憶は使うタイミングによって覚えやすくなったり、覚えにくくなったりすると思います。例えば「エッジの最後4文字に使うと覚えられるけど、エッジの初め4文字だとうまくいかない」とか。「EOCOなら問題ないのに、それ以外だと全然だめだ」とか。
人によって「ビジュアル記憶をどこで使うとよいのか」は異なる場合があります。ですからやはり最初に話したとおり、他のキューバーを参考にしながら自分で「ビジュアル記憶を使う、ベストなタイミング」を模索したほうがいいと思います。
ちなみに現在私はEOCOとエッジの最初2文字はビジュアル記憶です。エッジ最後の2文字に使うときもあるな。フローティングサイクルのときも。あらゆるところで使ってます。

②練習が足りない
ビジュアル記憶は見たものをそのまま覚える方法です。つまり最も単純な覚え方と言えます。ですがその分、工夫できる箇所が少ないのが事実です。レターペアなら先ほど書いたような工夫ができますが、ビジュアル記憶はそうではありません。
ですからひたすら練習量を積んでいきましょう。これ以上に優れた上達法はないと思います。
練習していくと脳が変わります。気がついたら「あれ、自分、こんなにも余裕で覚えられちゃうの?」ってなります。
最初のうちは「2文字だけビジュアル記憶を使おう」というふうに記憶量を少なくしてもいいのです。慣れたら、ビジュアル記憶で覚える量を増やして練習してみましょう。
また本当に苦手だという人は、ビジュアル記憶は使わないという手もあります。レターペアや音記憶だけでも記憶時間はかなり短くなります。最終手段です。

その他

下に私が今まで読んだ中でオススメなものを紹介させていただきます。どれも記憶について書かれているものです。
http://bldwhitegoat.seesaa.net/article/448377478.html
sub60を目指す人のための記事ですが、さらに上(sub30とか)を達成したい人にとっても役立つ考え方や知識が載っています。
http://cubyy.blog.fc2.com/blog-entry-4.html?sp
BLDの記憶、実行、練習法など全ての分野が網羅されています。字数が多い分、とても有益な情報が詰まってます。
・http://takuyanacube.blog.fc2.com/blog-entry-12.html?sp
より安定した記憶ができるようにするための記事です。レターぺアの作り方が役に立つと思います。

最後に

3つの記憶方法における改善点を書いてみました。私が経験したり、話に聞いたことのある「苦手な原因」はだいたい書けたと思います。丁寧に1つずつ実践していきましょう。
他にも原因があるという場合は、「自分なりにどうすれば改善できるのか」というのを考えてみてください(これが難しいんですけどね)。そして自分の改善点が見つかったら、とにかく練習していきましょう。記憶法を変えたからといってすぐに速くなるとは限りません。何度も繰り返し練習して、自動化させなければ意味がありません。
「レターペアは大胆な文章にするんだったな」とか「ビジュアル記憶はここで使うんだな」と頭で考えているようではまだまだです。
スポーツ選手は「ボールがこっちに飛んできたから自分はこう動かなきゃ」とか考えていないはずです。無意識に反射的に身体が動くはずです。そうでないと勝てません。
意識せずとも行うことができる、これが本当のゴールです。当たり前っちゃ当たり前なんですけど、意外と欠けてる人が多いように思います。
これがしっかりできるようになれば、記憶スピードは爆上がりしますし、体調が悪く
ても良いタイムが出せます。
あと楽しむということも大事ですね。

(2018/07/15 作成者:おと)

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