Cube Voyage

ルービックキューブの速いそろえ方、解き方、最速攻略法、解法、スピードキューブ、LBL法など

Roux methodでsub10を目指す人へ

1. 序
2. 原因分析
3. F2B
4. CMLL~LSE
5. LSE
6. 終わりに

1.序

今現在Roux methodについて書かれたサイトは非常に少ない。世界的に見ても相当少ないのはもちろん、日本語のものとなればひとつしかない。これはなぜかといえばその使い手が少ないからだろうが、解説記事が少ないからRoux methodを使う人が少なくなり、結果速い人がでてこず、速い人が記事を書かないから有用な情報が検索に引っかかることはなく……と悪循環を生んでいる。
しかし最近では徐々にRoux methodに興味を持ち練習をする人も増えてきているように思える。今あるサイト(かそきゅーぶ)は初心者から中級者向けの側面が強く、Roux methodについて知らない人でも一から勉強できるいい記事がたくさんある。始めたばかり~sub15程度の人はまずはかそきゅーぶで勉強したことを間違いなく使えるようにしてもらいたいと思う。以下に続く解説記事はRoux methodで速くなりたい、入賞したい、10秒切れるようになりたいという人向けだ。
後進の役に立つような記事を書きたいと思う。

2.原因分析

まずは全体的な話だ。
遅い人が遅いのには三つの理由がある。
第一に回すのが遅い。指使いが悪い、手順を回すのが下手、ひっかかる、などさまざまあるが、始めたばかりの人、あるいは昔の回しにくいルービックキューブを使っていた古参の方によく見られる。後者に関しては最近のキューブに慣れてもらう他ないし、前者についても練習回数を重ねていけばいずれ慣れると思う。目指すのがsub10程度ならこれは大きな障害にはならない。練習量が足りないだけ、というのは乱暴かもしれないが、綺麗に速く回そうという意識で練習することが肝要だ。
第二に手順が悪い。いつまでもカビの生えた手順、回しにくい手順を使い続ける人たちには反省してもらいたい。新しい手順は毎日うみだされている。常に手順を更新し、「より速く、より回しやすく」、を追求する精神が求められる。Algdbなどが有用だ。
第三によく止まる。ルービックキューブは理論上一度も止まらずに解くことができる、というのは昔の世界チャンピオンの言葉だが、中級者がまず持つべきなのは「止まっている時間が一番無駄」という意識だ。パーツ探しに手間取っていたり、回すべき手順を判断していたり、というのが止まる理由になっているはずだが、その時間はほぼ0に出来る。世界のトップ層の動画を見ていてもわかるはずだ。Feliks Zemdegsなどはその最たる例で、極端なものだと最初から最後まで全く止まらずに解いている。「彼らは世界トップレベルだからできるのであって、自分とは関係ない」、と諦めてしまうのは簡単だが、少しでも速くなりたいのなら速い人の真似をするのが一番の近道だ。
さて以上三点挙げてきたが、この先のテーマは先読みだ。第一、第二の理由についてはやる気さえあればすぐに解決できる程度の問題なので当人に任せるとして、この記事ではパーツの先読み、手順の先読みについてRoux methodの各ステップに分けて書いていく。長くなるが自分が苦手だと思うステップを選んで読んでいけばよい。
この先の記述には「sub10レベルでは必要ない」技術が含まれる可能性があるが、「速くなる」という目的に向けて無駄になる技術はない。また、昔取り入れようとして、かえってタイムが悪くなった技術は省いてある。

3.F2B

インスペクションは15秒と短いが、この間に少なくともFBは完全に読みたい。数手で1*2*2が揃う色を見つけ、残り2パーツを探す。合計手数が8手以内、または非常に回しやすいため2秒未満で揃えられる自信がある場合はその色を採用、それ以外の場合は違う色を探す。D面の色だけを固定した場合は4色から選ぶが、99%はそれで対応可能だ。残りの1%を完璧に処理することが全体的なタイムの向上につながることは間違いないが、そのためにD面色をデュアルにするのはリスクが高い。「縛り」が緩い分、難易度がはるかに高くなる。15秒で8パターンの想定をし、その中で最適、最速のものを選ぶのは難しい。それよりも「残りの1%」に偽装した、「実は簡単に揃うが一見わかりにくい」パターンを探す練習をしたほうがよかろう。
コーナーとエッジは最大3手でペアにできる(以降コーナーとエッジのペアをCEペアと呼ぶ)が、4色も選べるのだからCEペアは1手で作ることができるものを見つけられる場合が大半だ。FBの手数を減らしたいときは簡単に作れるCEペアをたくさん見つける練習が効果的だ。CEペアを作る動きの中でFBを作るのに有利になるようにパーツを動かすことを意識する。
FBでの持ち替えはなるべくしない。y持ち替えはもちろん、x持ち替えも控えたほうがよい。回しやすさの点から持ち替えを多用するのだろうが、持ち替えてFBを揃える手順を思いついたときに「この手順を回すのに持ち替えは必要だろうか?」と一度考えてみること。FやB、D、あるいはUwを使って持ち替えずに回せることが多い。もちろん持ち替えるよりは回しにくいが、それでも持ち替えずに回すようにすればいずれ慣れて、持ち替えて回していたときよりも速くなるはずだ。持ち替えは1手に数えても足りないくらいのタイムロスだということを忘れてはいけない。
FBを完全には読めないときは、「目を閉じてFBを回してみる」という練習が効果的だ。

FBからSBに移るときに止まってはいけない。
FBを完読みできる人なら、SBの5パーツの位置と向きを見ておき、FBを高速で回しながらそのパーツの移動を目で追っておく。その途中でCEペアができたとき、簡単な動きでペアを保存できる場合はやる、程度の工夫はできるはずだ。5パーツすべての位置と向きを把握し止まらずSBにはいるのは難しい、という場合はDRエッジだけでも目で追い、FBが終わったらすぐにいれてしまうのも手だ。手数を見れば最適ではなくなるが、「止まらない」ので結果として速くなる。将来的には5パーツすべてを把握できるように意識して日々の練習をする。SB2*2くらいまではインスペクションで読むことが可能だ。
スクランブルによってはFBの途中でSBに有利な動きをはさむくらいの柔軟性をもつこと。解法を作ったRoux氏が便宜上FB,SBとステップに分けただけで、厳密にその順番で解かなければいけないわけではない。F2Bは合わせて(同時に)解くことが十分可能なので、インスペクションで出来るだけ先まで読むことがタイム短縮にそのままつながる。大会直前以外はインスペクション無限大で、先の先まで読んで練習しよう。

4.CMLL~LSE

SBからCMLLにかけての先読みはほぼ不可能だ。U面コーナーの向きだけならともかく、色の並びまでSBを回している途中に読むことはまず無理だろう。この点に関してはできるだけ速くCMLLパターンを判別できるようにするしかない。
まずいろんな方向からCMLLを判断できるようにする。U,F,Rを見ればすべてのCMLLパターンがすべての面から判別可能だが、すべてのCMLLですべての面から判断できるようにすることで必ずしもタイムがよくなるわけではない。結局はCMLL開始面にAUFすることになるからだ。したがって、恩恵の大きいものから覚えていけばよい。開始面と判断面が違う場合があるので、無駄なAUFを減らすために、少なくともCMLL開始面からはそのCMLLを特定できるようにする。

CMLLからLSEにかけての先読みは簡単だ。CMLL40パターンのすべてでどのようにエッジが動くのかを把握しておけば、EOパターンが先読みできる。そのため、EOを読むだけでなく、CMLLとEOの間でキャンセルが発生する場合がないかを考えることが可能になる。特に全反転やD面2点反転はキャンセルさせやすい。たとえばCMLLの最後の1手がR系の場合はr系に変えてEO初手のM系とキャンセルすることができる。場合によっては2手以上キャンセルできることもあるので注意して観察すること。キャンセルがどうしても発生しない場合も先読みできていれば止まらずに回し続けられる。
CMLLでのEO先読みはCMLLを回しながらするのがよい。CMLLを回すのに1秒程度はかかるので、その間に直前に見たU面のエッジの状態を思い出して、そこからCMLL手順を回すとどうなるかを考える。
また、もう一つテクニックとしてEOとCMLLを同時処理するKCLLもあるが、6手OLLの使い分け、Sune,FatSuneの使い分けなどの簡単な場合を除いてはほぼ使い物にならない。挙げた2種およびそれを使う手順でのみ使えばよい。また、エッジ反転がない場合に備えてCOLLを覚えてもよい。EOは多くても6手程度で終わることを意識して使うCOLLは選別すること。

5.LSE

EOとCMLLは(ほぼ)同時処理する以上、先読みとしてURULエッジの位置は把握しておく必要がある。EOの処理をしながら目で追っておく。基本的には位置を把握するだけでよいが、EOと同時処理できる場合がある。EO手順は固定化せず、U・U’、M・M’の使い分けを意識する。多くの場合UではなくU’をつかってもEOは成り立つ。たとえばM’UM’はEOの基本パターンだが、M’U’Mでも同じEOが出来る。このようなパターンをうまく利用してURULをEOと同時処理できる場合、またはD面にふたつセットにできる場合はそのようにするのがよかろう。
URULエッジをうまく同時処理できる場合はそれほど多くないが、その場合はそのあとを意識する。D面でペアにしてM2ではめこむのが基本だが、そのままいれるとL4Eでセンター交換が発生する場合はこれを回避、同時処理する。U面を見て同色エッジが隣接しておらず(対面にある)、また、UFエッジがU,Fのセンターと違う色(孤立エッジ)の場合がこれに当たるが、この場合U2M’U2M2U2M’ (UDの平行交換手順)で処理する。センター交換はゴリ押しで回しても持ち替えてE2で回しても時間がかかる最悪のパターンなので、URULがスキップしたとき以外は回さないようにしたい。

6.終わりに

Roux methodはCFOPと比べても遜色ない、とても優秀な解法だ。劣る点といえば解説サイトが少ない点くらいだが、それはこれから優秀なRouxerが出てくれば徐々に解消されていくだろう。この記事がRoux methodを好きな人のタイムを向上させる一助になれば嬉しい。

(2015/08/12 執筆者:山下 智也