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F2Lの先読み

「先読み」というのは「ある手順を回しながら、次に回す手順を判断する・考える」ことです。
特にF2Lは先読みの重要度が高いです。先読みを身に付けることで、判断にかける時間を短縮し、継ぎ目のないソルブを実現できます。

このページでは先読みについてさまざまな事を書いています。

F2L先読みの重要性

先読みの中でも、F2Lの先読みは特に簡単かつ効果が高いです。

まず、なぜ簡単なのかというと「そろえるパーツが2つしかないから」です。
OLLやPLLは8つのパーツを同時に扱うため、先読みがかなり大変です。これに対しF2Lでは一度に揃えるのは2パーツだけですから、これらを先読みするのは比較的楽です。

そして、効果が高い理由は「F2Lは判断の回数が多いから」です。
OLLやPLLは1回ずつしかないのに対しF2Lは4回出てきますから、判断も4回することになります。そのため、F2Lの先読みを身に付けることで、効率よくタイムを伸ばすことができます。

もちろんOLLやPLLの先読みもタイムを縮めるための要素の一つではありますが、F2Lほど重要度が高くない上に、どちらかといえばOLLやPLLにおいては「先読み」よりも「素早く判断する」ことの方が重要なため、ここでは割愛します。

「先読み」とは結局何をしているのか?

「先読みとは何か?」という点について、もう少し詳しく書いてみたいと思います。
つまり、一口に「先読み」と言っていますが、結局具体的にはどういうことをしているの?という話です。

先読みには、いくつかの段階があります。
ここではそれを「レベル」という形式で書いてみたいと思います。

レベル0 F2Lの手順を覚えている
レベル1 F2Lの手順を無意識でこなせる
レベル2 次のパーツを目で追える
レベル3 次のパーツの位置を予測できる
レベル4 次のパーツの位置と向きを予測できる
レベル5 次に回す手順が予測できる

順に説明していきます。

レベル0 F2Lの手順を覚えている
先読みを身に付ける前に、まずこれが大前提になります。F2Lの手順を間違えずにこなすことができなければ話は始まりません。
また間違えないだけでなく、パターンを見た時にすぐに判断して、ノータイムで手順を思いつくことができることが重要です。
言われてみれば当たり前のことではありますが、これはとても重要なことです。
レベル0がしっかり出来ていなければ先読みを身に付けても何の意味もありませんし、またこのレベル0ができるだけでも20秒を切るくらいまではたどり着くことができます。
F2Lを身に付けたら次は先読みだ!とはよく言われますが、まずその前段階としての「F2Lの手順と判断がちゃんと身についているのか」という点について、一度しっかり考え直しておくことをオススメします。

レベル1 F2Lの手順を無意識でこなせる
手順がしっかり身に付いて回すのに慣れてくると、そのうちF2Lの手順自体はほぼ無意識のうちにこなせるようになるはずです。
今回している手順にかける意識が少なくなることで、「次に回す手順」へ意識を向けていくことができるようになってきます。

レベル2 次のパーツを目で追える
無意識に手順を回せるようになってきたら、少しずつ周りにも目を向けていきましょう。手順を回しながら、まだ揃っていないペアのパーツを探していきます。
まずはエッジとコーナーのうちどちらか1つを探します。見つけたら、それを目で追いつつ対応するもう1つのパーツも探します。
パーツを見つけたら、今の手順を回しつつそれらを目で追っていくようにしましょう。手順を回し終わってから探すのではなく回しながら探して目で追っておくことで、パーツを探す時間を短縮できます。

なお、最初にパーツを探すとき、クロス色がついている分エッジよりもコーナーの方が圧倒的に見つけやすいと思います。そのためパーツを探す時についついクロス色を探してしまいがちなのですが、それだとエッジを見つけられないのと、将来的にCNをやろうとした時などに苦労すると思いますので、クロス色に頼りすぎないように注意しましょう。

レベル3 次のパーツの位置を予測できる
パーツを見つけて目で追う練習を繰り返していると、手順を回しきる前に「今の手順が終わった時にパーツはどこに移動しているのか」をなんとなく予測できるようになってきます。
「なんとなく」と書いていますが、このレベル3以降については、意識して身に付けようとしなくても先読みの練習を繰り返しているうちに自然と出来るようになってくると思います。がんばって練習しましょう。

レベル4 次のパーツの位置と向きを予測できる
練習を重ねると、パーツの位置だけでなく向きも予測できるようになってきます。
これが出来るようになるということは、つまり「次に回すF2Lはどういうパターンか?」というのが事前に予測できるようになっているということです。

レベル5 次に回す手順が予測できる
レベル4からさらに進化して、揃えるべきパターンだけでなく「では、この位置でこのパターンだとどう揃えるのが最も効率が良いか?」ということまで、前の手順を回しきる前に予測できるようになります。
レベル5ができるようになれば、ある手順を回している間に次の手順まで頭に入っていることになるので、F2L中一度も止まることなく回し続けることが可能になります。ここまでできれば先読みは完成したといっていいでしょう。とはいえ10秒を切るほどのタイムになってやっと身についてくる程度には難しいので、タイムが速くないうちからそこまで気にしていく必要はないと思います。

先読みを身に付けるには

先読みを身に付けるためのコツを皆さんにお教えしたいところなのですが……残念ながらそんなものはありません。
がんばって練習して身に付けるしか方法はありません。諦めて練習してください。

……まあ流石にこれだけだと不十分だと思うので、先読みの練習をする上での注意点をいくつか挙げておきます。

・惰性で揃えない
出来ないことが出来るように練習しているわけですから、自分に出来る範囲で練習していても力は付きません。
練習するときはしっかり集中して、先読みのことを意識しながら練習するようにしましょう。

・手を止めて先を予測する練習はあまり意味がない
先読みを身に付ける上で「パーツの動きを理解する」ということはとても大事なのですが、ソルブ途中で手を止めて「この手順が終わった時のパーツの位置を予測しよう!」という練習は、先読みを鍛える上ではあまり役に立ちません。
これは筆者の経験則なのでちゃんと説明するのは難しいですが、「ゆっくり揃えながらパーツの動きを考えていく」事と「高速で揃えながら先読みをすること」は全くの別物です。筆者の個人的な感覚としては、使う脳の場所がそもそも違う感じがします。前者はむしろインスペクション中の読みなどに近い部分があります。
先読みを鍛えるには先読みそのものの練習を繰り返すしか方法はないと思います。
少なくともそれが一番効率が良いのは確かです。

先読みとソルブの効率は独立ではない

F2Lを素早くこなすための要素として「先読み」と「ソルブの効率を上げること」がよく挙げられ、これらは独立した要素として考えられることが多いですが、実はそうではありません。
先読みをして次に揃えるものを予測しておくことと、ソルブ自体の内容を見直してより効率よく(手数や持ち替えを少なく)揃えていくことは全く別のことではありますが、速く揃えるということを考えた場合、これらは相互に関連しています。

まず先読みができているということは、前のパーツを揃えきる前に次のパーツについて頭が回っているということですから、先読みができていない場合と比べて「あるパーツについて考える時間」が長く稼げているということになります。
同じ速度でソルブをしていても、1つのペアに対してより長く考える時間をかけることができれば、その分もっと効率のよいソルブを目指すことができるようになります。

そして、効率のよいソルブが出来ているということは、手数や持ち替えが少ないということです。ソルブにかける手数や持ち替えが減るというということは、つまり「パーツの動く量」が減ることを意味します。
当然パーツの動く量が少なければ少ないほど予測もしやすくなるので、効率のよいソルブができればできるほど、先読みも簡単になっていきます。

つまり、
「先読みができているほど効率のよいソルブがしやすくなる」
「ソルブの効率が良いほど先読みも簡単になる」

ということが言えます。
この2つは相互に関連しているので、どちらかに偏りすぎることなく、2つの要素を並行して上達させていくことが重要です。

おわりに

あまりまとまりのない内容になってしまいましたが、これで以上となります。
なるべく具体的な方法論などについて述べたかったのですが、先読みについてはクロスと同様個人の感覚による部分も大きく、あまり書ける内容がないというのが正直なところです。
その分個人個人による練習がとても大事なので、各自で頑張って練習して身に付けていってください。

(2016/12/13 執筆者:HATAMURA)

・参考資料
F2L Techniques 5: 先読みのレベル by HATAMURA5121

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